うりぼうのダイアリー

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現物出資とは分かったようで分からない表現

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こんにちは、うりぼうです。

 

のれんに関するエントリーを立て続けにまとめる中で参照した専門書にて、現物出資という用語を頻繁に目にしました。


経理実務で、多くの方が最初に聞いて「えっ」と戸惑う用語ではないかと思います。

 

 

これは何が分かりにくいかというと、

「出資はそもそも現物やん?」、と用語から湧くイメージの違和感によるものがひとつにあると思います。

 

「現物」という言葉は、会社法では「金銭以外の財産の出資」と定義されています。
現ナマと現物は違うんですね。

▼会社法での「設立」での使われ方

発起人は、定款に500万円を超える現物出資についての記載又は記録があるときは、定款の公証人の認証の後遅滞なく、当該事項を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない(33条)。

 

証券業界での用語でも、現物取引などにあるように、実際に受渡しすることができる有価証券、金、仮想通貨などを指すようです。

特に、空売りや空買いの対象となる先物に対して、実在している株式や商品を指すようです(weblioより)。

 

うりぼうも会社法勉強した際に、現物出資とは設立時に現金出資に代えて、動産や不動産を出資するものと記憶していたんですが、いざ実務で耳にすると記憶とは結びつきませんでした。知ってると使えるの間には大きな隔たりがありますね。


実務では設立で現物出資に出くわすことはめったにないのが、現物出資が分かりにくい(勉強した知識が実務で使えない)理由その2になると考えています。

 


では、実務で使われる際の現物出資は何かというと、もともと有していた債権を株式にすることです。これはあくまで債権者(出資者)側のお話。


実務での現物出資の理解にはBSの二面性がキーとなります。

 

債権者(出資者)側:資産サイド

もともと持っていた債権(売掛金や貸付金)を、

投資勘定(子会社株式など)に振り替えて株式化してやること、

 

債務者(側出資を受ける者)側:負債・資本サイド

外部に対して保有している債務(買掛金や借入金)を資本金等に振り替えること。

 

 

 

 会計を勉強した者にとっては債務者側のDES(デットエクイティスワップ)の方が聞き慣れた方も多いのではないでしょうか?

これは、現物出資の債務者側のことを示した処理です。

 

出資を受ける側にとっては返済義務のある債務が減って、資本金が増えることによりBSの見た目がよくなる(財務体質が改善するなどといいますね)し、利息が発生する場合は負担がなくなるため、キャッシュフローを改善することができます。

 

出資者側にとっては、債権の返済がなくなる代わりに出資を通じて株主となるため、出資先の会社をコントロールできるというメリットがあります。

子会社に対して有している債権について、子会社に資金面で余裕がなく返済できないので、出資扱いにしてしまおうという話です。

 

 

このように、ある事象の2つの側面のどちらを指しているかで、表現や話の中身が全く別のものに聞こえるというのは現物出資の話に限らずですが、会計や税務ではとくにこの側面が強いのかなという印象です。

 

 

DES(デットエクイティスワップ)という用語に対して、債権の株式化についてもCIS (クレジットインベストメントスワップ※うりぼうの造語です)があればわかりやすいのにと思いました。きっと良いネーミングが浮かばなかった(定着しなかった)のも現物出資の概念を分かりにくくしている要因の一つかなと思いました。



それではまた。うりぼうでした。

 

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