こんにちは、うりぼうです。
本日から、EA試験でキーとなるフレーズやワードの解説を深堀りしていこうと思います。
世間でもあまり馴染みがないEAという職業をご紹介するのにも良い機会なのでPart3の内容から始めていきます。
本日のフレーズは「Practice before the IRS」です。
Part3を始めて勉強するときに直面するフレーズです。
EAなどの有資格者が「IRSに対して遂行する業務」と訳されます。
学習のしょっぱなから、「Practice」と「before」の普段あまり見かけない使われ方に出会った方も多いのではないでしょうか。
「Practice」について
普段「Practice」は名詞形では、「練習」、「訓練」や「慣習」などで使われますが、ここでは「(日常的な)業務」、「仕事」の意味合いで用いられています。
この他にも「practitioner」というワードもEA試験でよく見かけることになりますが、「専門家」という意味で、「EA」、「弁護士」や「医者」などの開業している個別の専門家そのものを意味したりもします。
なので、「Practice」は彼ら専門家が行う日常業務という意味合いで覚えてください。
「Before」について
日常でよく目にする表現は「(場所、人、物、時間的)前」だと思いますが、ここではかなり特殊な意味合いで用いられています。
ランダムハウス英和大辞典からの引用を見てみましょう。
<重要人物の〉面前に; (裁判・審理・考慮など
のために)...の前に;〈教義などに照らして
Before God!
神に誓って
speak before the conference
会議の席で演説をする
The case went before the court.
事件は法廷の審理にかけられた.
これから分かるように、ここでも「Before」は「(公のものの)前で」という意味で使用されています。Before God(神の面前で、神に誓って)は公の最たるものでしょう。ヨーロッパの絶対王政期の政治思想で、王権神授説という考え方があります。「王の権利は神が人間に授けた権利なので、王は神のみに責任を負う。だから王が神の代理としての役割を担うという。」という思想です。突き詰めれば、神=人間の代表=公です。
これに関わらず、公的な場所や機会の前ではBeforeが使えそうです。
「Practice before the IRS」とは
納税者本人(tax payer)の税務に関する代理業務のこと。
「Practice before the IRS」に該当しない代理業務
・申告書の作成
・納税者本人とIRSのやり取りに立会人として同席する
・IRSの要求に対して情報を提供する
覚え方
専門性あり:「Practice before the IRS」に該当
専門性なし:「Practice before the IRS」に該当しない
アメリカでは、申告書は誰でも作成できるため、納税者の代理で作成したとしてもIRSに対する業務とはみなされません。また、税務調査等のIRSと納税者本人の間のやりとりに立ち会うだけ(代理ではない)の行為や、IRSからの依頼を受けて納税者の情報を提供する行為も、自分で判断して何かやっているわけではないため専門性がないものとみなされます。
試験で問われる理解しにくいポイント
税務調査等において本人の代理でIRSと交渉する
→これは「Practice before the IRS」に該当する代理業務となります。交渉は直接交渉なので、単なる情報の提供や本人同席のもとでの立ち会いとは異なります。
自分が申告した申告書に関する税務調査等であっても、本人or他者が作成したものであっても構いません。要するに、本人がいないところで本人の代わりとなって、自身の専門性を駆使して業務にあたるかというところが理解のポイントになります。
「Practice before the IRS」を行うことが出来る者
冒頭でEAなどの有資格者が行う業務と申しましたが、正確には以下のものが規定されています。
・Attorney (弁護士)
・Certified public accountant (公認会計士)
・Enrolled agent (EA)
・Enrolled actuary (アクチュアリー)
・Enrolled retirement plan agent (登録退職年金プラン代理人)
・Unenrolled tax return preparer (無登録の申告書作成者)
・RTRP (登録申告書作成者)
色分けしているのは、赤が一定の資格試験を突破した有資格者かつ登録者で、IRSに対する業務に制限がないもの、青がIRSに対する業務に制限を設けているものです。
赤、青含めて、IRSに対して本人の代理で税務に関する代理業務を行うものをPractitionerといいます。「Practice」の説明のところでも記載していますね。
Unenrolled tax return preparer (無登録の申告書作成者)
自身が作成して署名した申告書の年度に対してのみ納税者(tax payer)本人の代理を行うことが出来ます。あくまで申告書作成は「Practice before the IRS」に該当せず、納税者本人の代理としてIRSの税務調査官等と交渉できる。AFSPという資格試験にパスすることを要件としています。
RTRP (登録申告書作成者)
2013年まではIRSが申告書作成のためにRTRPという試験を課していましたが、そもそも申告書作成について、RTRP試験を課すことが無効との判決が出たため(連邦控訴裁判決)、RTRP資格自体が無効になりました。言い換えると、誰でも作成することができる申告書作成業務が、「Practice before the IRS」に該当しないことが明確になりました。
なお、RTRP資格を保持していた者も、2016年以降はAFSP試験をパスすれば納税者の代理が可能となります。もちろんEA試験のパスでも代理可。
2014、2015年はAFSP試験が存在していなかったので、EA試験など公的試験をパスする必要があったと思われます(試験には出ないけど)。
まとめ
初回の解説いかがでしたでしょうか。次回は確認テスト行なって理解できたか確認する予定ですのでお楽しみに。
それではまたね。うりぼうでした。