うりぼうのダイアリー

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Gold’s gym(ゴールドジム)のニュースから考えるBankruptcy(破産)について

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先週から大変賑わっている米国Gold's Gym(GGI holdings。以下、米国法人)のニュース。

 

www.goldsgym.com



うりぼうも神戸・大阪に住んでいた時は3年ほどお世話になったので、人ごととは思えないニュースでした。

気になったのは、米国法人の経営がうまくいっていないことは勿論のこと、事実を正確に伝えていない誤解を招くマスコミの表現でした。

なぜ事実が曲げられた表現になるのかを考え、その要因を簡単にまとめてみました。

  • 破産法制が日本人に理解しづらい
    • 清算と経営再生は異なる
    • 「破産=人生終了」という固定観念
      • 日本人は人の不幸が大好き
        • 失敗したら再起不能にする日本人の習性
        • 同調圧力
  • 米国法人と日本法人は全く別物
    • Glod's Gymブランドによるライセンスビジネス
    • 見通しがつかない状況で経営判断ができない

 

破産法制が日本人に理解しづらい

清算と経営再生は異なる


米国の破産法制が日本人に理解しにくいことに一番の理由があると考えます。
理解できていないことでマスコミが間違った表現をしてしまいます。破産とか経営破綻とかタイトルにのせてしまう。ページビューや視聴率を稼げる表現だからね。

 

一般に「破産」を指す場合は、会社が完全に消滅してしまうことで、米国では、連邦破産法Chapter7の申請が認可された後に清算手続きとなります。


今回のGold's Gymのケースだと、連邦破産法Chapter11といって、経営者もそのままで債務だけ免除してもらうことをGold's Gym自らが申請したケースとなります(かなりざっくりですが)。

ちなみにブルームバーグだと以下の表現が用いられています。

www.bloomberg.co.jp

事実をありのまま伝えていますね。知っている人なら、当分経営は続けていくのね、くらいの感覚でしょう。

 

ちなみに、EAのPart3でいうと、裁判所の訴訟手続の論点が頻出(下の図参照)。
Chapter11は各州のBankruptcy Court(破産裁判所。)に申し立てを行うことにより手続きが始まります。

米国法人の所在地はテキサス州なので、テキサス州破産裁判所への申立が行われます。Chapter11では、裁判所の判断を待たずに、申立てだけで手続きが始められる点が特徴です(ただし、後の裁判所での認可があって始めて法的に有効な手続きとなります)。裁判所にて審議している間に経営が悪化してしまっては元も子もないですからね。 

 

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▲裁判所への訴訟手続の図。EA受験生の方はTax Courtにて不足税額を支払わなくても訴訟ができた有名論点を思い出されたし。

「破産=人生終了」という固定観念


元の話に戻ると、失敗したら終わりという、日本人が作り出した概念、これも理解を妨げている要因となっているように感じます。芸能人の不祥事で見て取れることですが、失言、薬、酒などたった一回の過ちで再起不能にするまで追い詰めてしまう。

直近の失言例だと、ナインティナインの岡村さんでしょう。芸能界の親しいところから世間に至るまで叩きに叩かれ、犯罪者のような扱いとなっています。以前、鬱病になったことがあることから精神的に参っていることが予想されます。

薬、酒は、摂取することで自律神経がコントロールできなくなるという意味では両者は合法、非合法に関わらずドラッグです。米国ではこれらのドラッグから抜け出した者のことを「サバイバー(生還者)」と呼び敬意を表するようですが、日本では薬、酒が枕詞かのようにくっついて廻ります。サバイバーになりたくても、世間が応援しないので再度のめりこみやすいというのも世間の傾向です。


日本人は人の不幸が大好き。だから本人を再起不能にするまで追い詰め、そのネタが飽きるまで続ける。反対意見は外に出しません。同調圧力をかけて人の不幸をメシウマで楽しむのが日本人の習性だから。

米国法人と日本法人は全く別物

Glod's Gymブランドによるライセンスビジネス

さて、Gold's Gymを運営している米国法人と日本法人(株式会社Thinkフィットネス、以下、日本法人)は全く別の会社というのも誤解されやすい要因となっています。日本法人はフランチャイジーなので本社にはGold’s Gymブランド使用料を支払っているだけ。バーバーリーブランドを失った三陽商会のようなものです。


それこそ米国法人が潰れようが、ブランドが消滅しない限りは日本法人はぴんぴんしています。一部が直営店(資本関係のあるグループ会社)となっている場合があるからややこしさを助長しているものと思います。

見通しがつかない状況で経営判断ができない

ただ、この店舗再開の見通しがつかない状況下で、毎月のサブスク会費が集まらない上に発生する固定費を削ることが困難な中、経営をどう改善していくかは大きな決断となるに違いありません。Chapter11の大半は企業内部での再建ではなく、むしろ会社の資産を外部売却することにより達成されているようですので、主に店舗等の固定資産だったりこれに伴う人員整理により行われるのではないかと思います。

Gold's Gymは店舗で、同類のマッチョが己を高めているのを見て自分もモチベーションを上げるような場所だと思っており、同士が同士を呼ぶ一種のコミュニティビジネス。これがブランド価値を高めていっているものと考えています(自身の体験談)。店舗等の売却はGold's Gym自体のブランドを下げることになるため、その先の会社消滅も連想させてしまうのでしょう。

 

もういっそ、破産法っていう表現も改めて、復活法とかリスタート、リフレッシュアクトとか名称変更したらいいのにな、と思う今日このごろ。

 

参考記事:米国連邦倒産法チャプター11による企業再建の動向

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